コンテナいちじくの冬季ケアと使用培土

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先日、コンテナ栽培しているイチジクのケアを行いましたのでレポートいたします。

イチジク業界では注目のコンテナ栽培。根巻は大丈夫?

イチジク業界ではなにかと話題のコンテナ栽培ですが、46Lの収穫コンテナでもわずか1シーズンでコンテナいっぱいに根が広がります。
こちらの写真は私のコンテナ栽培品種のひとつであるモントファベットの根っこです。

モントファベットの根(外側の土を削った後)

この木は苗植えの時期が遅く、7月1日にコンテナへ植えました。
土が良かったのも関係していると思いますが、それからは後れを取り返すかのようにぐんぐん根を伸ばしていって、ひと月もかからないうちに根っこの先端がコンテナの端っこへ到達していました。

培土は購入したもので、イチジクの苗代よりもお金がかかっています。
その分、とても良い土で来年以後に収穫できるであろう果実の味に期待が持てます。

定植2週間後のイチジクの根(7月)。表土にも顔を出し、外へ外へ旺盛に伸びていきました。

さて、シーズン終了後のコンテナいちじくの状況ですが、地上部の順調な生育の一方で根っこは完全に巻いて根詰まりしまっています。
ですから冬の時期にこの根巻を断根してやって来季に備える必要があるとされています。

イメージとしては下記サイトがわかりやすいかと感じます。
大胆に切り取っていらっしゃいますね。
プランターも『コンテナ栽培』の一種です。

注)上記リンク先ではオルトラン粒剤を使用していらっしゃるようですが、オルトラン粒剤は適用表にイチジクの記載はありませんのでご注意ください。なお、水和剤の方には登録があります。

根を断ち切り、新しい培土を入れて土性改善!

当初は『ふっかふか』で、イチジクに向いていると言われる羽間の素土壌よりずっと良い状態の購入培土でしたが、1シーズン終えるとさすがにカッチカチになってしまっていました。

植付け時は充満していた培土が締まってカチカチに。吸水も悪くなっている。

この状態では来シーズンに良いパフォーマンスは望めません。
根が巻き、土も固くなっている状態ですから、イチジクが休眠している冬季にケアしてあげる必要があるのです。

さて、断根する量ですが、農試のレポートによれば培土量の50%でも問題なかったとの試験結果があるようです。
参考:イチジクのコンテナ栽培における仕立て法と樹勢の調節及び維持法/愛知県農業総合試験場

先ほどご紹介したサイトでも50%どころかそれ以上取り除かれていらっしゃいますよね。

生命力旺盛なイチジクの場合は思い切って根を断ち切っても大丈夫なようです。
気温が上がれば根の伸びが旺盛となりますから、むしろ翌年に根が伸びていく土が無い方が問題になるのかもしれません。

断根の道具はシャベルでも小型ノコギリでも、家にあるもので間に合うでしょう。
ちなみに私は別用途で購入していた山菜堀り用の万能スコップを使いました。
刃こぼれを心配することなく土に刺せるし、そしてやはりノコギリの部分が便利でしたね。
ケースもついていて保存性も◎でコスパ良くお勧めです!

断根が終われば、古い土と散らばった根を取り除き、新しい培土を詰めて完了です。
1コンテナ1時間程度、効率化して40分程度でしょうか。

コンテナいちじく栽培はコスト的に不利

このようにコンテナイチジクは毎年シーズン終了後に枝の剪定に加えて根のケアが必要となります。
これを10aあたり200個以上のコンテナを並べて、例えば一定の経営規模である50aを毎年行うとなると、コンテナ1000個を軽く超えてきます。

こうなると人的コストや培土、コンテナそのものへのコストがかなりかさんできます(そもそも収穫コンテナを使うのはその辺に余っていてタダで転用できるから)。
またイチジクの樹自体の寿命も短くなります。
ですので、味にはっきりとした違いが出ない限りは、露地いちじくの方がコスト的に有利になってきます。
そして、味は立地と栽培技術によるものなので、露地いちじくで糖度が高く美味なイチジクができてしまうこちら羽間においてはコンテナいちじくを大々的に取り入れる妙味はあまりないかなと感じます。
(コンテナ栽培は一般的にハウスの中で栽培されますので、露地との比較論点はもっとたくさんありますが省略しております。)

まぁ私は実験が好きなので色々な栽培方法を試しております。。。

羽間ファームで使っている培土と元肥のご紹介

最後に、私が使用している培土のご紹介です。
本当はシークレットで通したかった(土が入手困難になると困る)のですが・・・

まず培土ですが、
カネアさんの『銀の土』を使用しています。
この商品は本当に培土の状態が良く、私はこれまでにかなりの量を購入してきました。
さらに付け加えると、3袋セットで購入すると1コンテナ分ちょうどです(46L収穫コンテナの場合。培土の量は16L×3袋=48L。)。
セットで価格は単価が安くなるのでおススメです。
3コンテナで3品種育ててみたいという方は10袋セットで単価を抑えましょう。

コンテナいちじくへの使い方は、最初に40L程度コンテナにいれて(3袋目が半分残る)、残りはその後に根っこが地表に出てくるたびに上に被せていきます。土も時間の経過とともにコンテナに収まっていき、ちょうど3袋使い切る量で落ち着きます。
(コンテナの底とサイドには土こぼれ防止のために不織布をセットしましょう。新聞紙でもいけますがその場合は水抜きのための穴を開けてください。なお、不織布でも製品によっては水が溜まりますので穴あけが必要になる場合があります。)

※コンテナの底には鉢底石か、土が荒れければ何も敷かなくて大丈夫です。いちじくは排水性が命ですので、透水性が低いものを底に敷いてしまうと「根腐れ」を起こしてしまって枯れてしまいます。

商業的には厳しい価格帯ですが、家庭菜園用なら有力な選択肢となるでしょう。

なお、銀の土には肥料分がほとんどありませんので、金の肥料(粉)を混ぜて補っています。
土が良いので、金の肥料は1コンテナ4~5握り程度で十分でしょう。他の作物へも使え、使い勝手が良いので1kg以上購入しても良いのではと思います。
粉タイプを使用する理由は均一に土へ混ぜるためです。が、固形タイプでもそれほど違いはないと思います。

あとは土壌酸度をもう少し中性へ傾けた方が良いと感じますので、有機石灰を一握り土に混ぜるておくとよいでしょう。

これであなたもご自宅でコンテナで育った完熟イチジクを味わうことができる一歩を踏み出せるでしょう。
ただコンテナ栽培技術はまだまだたくさんありますよ。

以下にそれぞれの商品リンクを載せておきますので是非ご参照ください。

(注)不織布と有機石灰に関しては羽間ファームで使用しているものとは異なります。

最後はアフィリエイターのような形になってしまいましたが、本日は羽間ファームのコンテナ栽培イチジクの冬季ケアについてのご紹介でした。

Yuki-Izumi

Yuki-Izumi

松山⇒東京&千葉埼玉⇒松山など色々なところを渡り歩きながらまんのう町という田舎町に流れつきました。
流れ着いた先の義実家は20数年前まで古くからの専業農家でしたが、先代の急逝によりほぼ途絶。その状況でありながら細々とイチジクの樹は受け継がれていたところでした。
休耕地の活用を目指して令和3年度香川県立農業大学校技術研修科修了。
令和4年度よりイチジクと野菜の生産・出荷を開始しています。
農業大学校では本当に多くのことを学べ、特に農薬防除や衛生管理の分野は多くの時間をかけて学ぶことができました。
基本を大切にし、『農家自身が食べる農作物を食卓へ』お届けいたします。

過去には不動産鑑定・仲介、税理士事務所を経て、1級FP事務所を松山城の麓で経営し、並行して経理代行の仕事を営んできました。
いずれ農業と今までの経歴を絡めていけたらと考えています。

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