目次
非農家から農業経営者への歩み / 次世代へつなぐ農業基盤構築への想い
契機となった税理士事務所 勤務時代の経験
私は20~30代に相続税申告業務に従事し、農家を取り巻く深刻な状況を目の当たりにしました。
問題点は多岐にわたりますが、その中でも相続対策のために「農地が虫食い状に宅地化していく」状況をみて、「このままでは日本の食糧生産基盤が失われてしまうのでは」と危機感を抱く日々を過ごしていました。
しかしながら「自分が農地を持っていたら放置しないためにこういうことをするかな」と考えることはあっても、農家ではないサラリーマン家庭出身の私にとって、現実に農業を担うことはないだろうと考えていました。
転機となった結婚。農業生産への使命感が芽生える
配偶者の実家が祖父母の代まで農家で、私が過去に見てきた「農地はあるが生産活動停止」という典型的な旧農家でした。
このことが転機となり、いずれ自身に降りかかってくる農地の相続という問題に接して、「これらの農地を活用するには何がベストだろう?」と考え始めました。
当初は独学で得た知識を少しの面積で試験栽培をしたりしましたが、何が正解か分からず暗中模索の状態。
体系的に農学を学ぶ必要性を痛感しました。
糧となった農業大学校での研修
幸運にも近所にあった農業大学校へ通え、社会人1年研修を受講することができました。
平日は朝から夕方まで座学と実習の繰り返し。通学の前後は試験栽培をして、夜は遅くまで学校から付与された電子図書館で文献を読み込みました。
農業大学校での研修内容は熱意ある先生方のおかげで思っていた以上に充実していて、私の農業経営の根幹となる知識土台を築くことができました。
就農。そして農業経営者へ
農業大学校へ通いながら就農への準備を進め、研修修了直後に認定新規就農者として独立就農。
当初からあった設備は、25年落ちトラクターと納屋、そして小農具のみ。
どれも祖父母の時代から使われていたもので、祖母が大切に保管してくれていた機材でした。
真っ当な農業経営体から見れば生産設備は皆無に等しい状態からのスタートでしたが、残していただけていただけでも良かったと感じています。
就農後は度重なる大小の設備投資、作れど作れど利益が上がらない露地野菜の低収益に苦しみました。
そのような中でも栽培技術の体系化や法人化を進め、着実に農業経営の基盤構築に努めています。
日本の農業経営の構造的問題と解決への糸口を考えると
日本農業の問題点は人の寿命に左右されてきたこと
- 経営主の寿命とともにノウハウ・資産が消失
- 農地が相続と絡むことにより、
①農地の無秩序な宅地化
②農業をしていない者への相続で耕作放棄地・休耕地化
解決への糸口
- 法人化による農業経営資産と個人財産とを分離【相続問題から解放】
- バックオフィスの整備による雇用労働者の受入れと事業承継の準備
- 20年以上のスパンでみた経営基盤の構築
次世代へのバトンリレー
「人の寿命に影響を受ける個人事業ではなく、継承可能な農業経営体」を作るため、日々の農作業を通じて持続可能な農業モデルの確立に取り組んでいます。
日本農業の未来を守るため、法人経営基盤の確立と人材育成が重要だと考えています。
はざま篠原農産合同会社 代表 和泉勇樹
経営理念
~テロワールの恵みを未来へ紡ぐ持続的農業の実践~
1. 自然と共生する農業の確立
「羽間の風土と対話する栽培哲学」
豊かな生態系が息づく羽間の地形・気候・土壌特性を科学的に解釈し、地域固有の「テロワール」を意識した高品質な農産物の創造を追求します。
2. 作物の本質価値の提供
「畑から食卓までの鮮度を重視」
収穫後から時間をおかず、みずみずしい作物をお届けできるよう、農家直送・直売を重視します。
そして生産者と消費者との接点を構築し、「生産地を想像しながら食べる喜び」を感じていただけるよう努めます。
3. 未来へ紡ぐための「3つの持続性」を意識
- 環境的持続性:農地を消耗させない、環境負荷をかけすぎない生産を行います。
- 経済的持続性:農業経営に適した管理会計手法を創出し、盤石な収益・資産構造を構築します。
- 人材的持続性:独自の次世代育成プログラムを構築し、未来を担う人材の育成を行います。
企業情報
法人名 | はざま篠原農産合同会社 |
名称 | はざまFiggy |
代表者 | 和泉 勇樹 |
個人創業 | 2022年4月1日 |
法人設立 | 2024年4月2日 |
所在地 | 香川県仲多度郡まんのう町羽間2414-3 |
役員数 | 1名 |
従業員数 (累計) | 10名 |
栽培作物 | イチジク、とうもろこし、スイカ、ケロッコなど |
経営者について
代表・社長 和泉勇樹
山口県岩国市 生まれ
愛媛県松山市 育ち
【居住したことのある都市】
千葉県佐倉市 大学進学で居住
埼玉県越谷市 仕事で居住
東京都小金井市 150名程のシェアハウスで交流
東京都渋谷区 仕事で居住
経歴
愛媛県での不動産評価・相続税申告業務のキャリアを中心に、渋谷区にて不動産仲介、銀座や虎ノ門にてホテルスタッフ、埼玉県にて物流センタースタッフなど、様々な業界を経て1級ファイナンシャルプランナー事務所「家計の泉」を愛媛県松山市に開設。
その後まもなく、配偶者の実家へ入るため事務所を知人FPへ譲り、香川県まんのう町へ移住。
香川県立農業大学校にて1年間の研修を受けた後、遊休農地を活用する形で独立就農。現在に至る。
保有資格
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 日本FP協会 CFP認定者
- 宅地建物取引士
- 証券外務員一種
- 貸金業務取扱主任者
- CAD利用技術者2級 など
講師実績
- 日本FP協会愛媛支部 継続研修会 「不動産の相談に関わる業法を理解し、web公開資料を用いて相場と災害情報を把握する」 2020年9月
メディア出演
- 南海放送ラジオ モーニングディライト ブリーズ FP出演 2021年2月
スポーツ実績
- 小学校:ドッジボール 全国大会出場
- 中学校:バスケットボール 全国大会出場