はざまいちじくが美味しいと言われるのはなぜか?
その自然的な要因に迫るシリーズ第1弾です。
3つの理由に分けてお届けする計画です。
進行は対話形式で進めさせていただきます。
やりとりに遊び要素が入っておりますが、最後までお付き合いいただけたら幸いです。
※文中に「いちじく」、「イチジク」とで表記の揺れがございますが、ひらがなでは読みづらいところはあえてカタカナにしておりますのでご了承くださいませ。
目次
プロローグ
ゆき
園長!私、久しぶりの登場ですけど、なんか可愛くなってないですか?
てか名前変わってるし。。
流行りに乗ってAI女子高生を召喚してみました。
せっかくのイメチェンなのでお名前も変えてみましたよ。
ゆき
へえー。私の顔、マスピ顔って言うんですよね。
『マスターピース』。傑作からできた顔。あはは。。。
羽間の砂壌土とはどんな感じ?
ゆき
そうそう園長、「はざまいちじく」ってどうして美味しいって言われているんでしたっけ?
様々な要因が合わさって特産品というのはできると思います。
本日はそのひとつの『土質』についてお話ししましょう。
ゆき
はーい!
仕事中に農園の土を触っていて、どんな印象を持ってますか?
ゆき
えっと、土が乾いている時はさっらさら!
あと石がすごく多いですよね。小さいのから、どこから出てきたの?っていうくらい大きい石まで‼
そうですね。Instagramにもあげたことがありますけど、耕土は砂地でさらさらしています。
でもその耕土は浅くてすぐ下にかっちかちの固い層がありますね。
つまり、表層部に数十㎝くらいの砂壌土があって、その下には礫質層、いわゆる「ガラク」の層が形成されているようです。
羽間の中でも個別差はありますが、トラクターを浅く使わないと爪が跳ね返されてトラクターが浮くほどです。無理やり深く使うと花崗土や大きな石が表面に出てきてしまって後が大変になりますね。
ゆき
はざまの水はけが良い理由として、
1.水はけの良い砂壌土の下に、
2.これまた水はけの良い礫質層(ガラク)があるという、
ダブルの要因が影響しているということですね。
羽間の農家さんには2通りの表現があるんです。
「下が砂地だから」
というものと、
「下がガラクだから」
という表現です。
最初に聞いたときはどちらが正しいの?と思った経験がありますが、どちらも正解というわけです。
水はけが良いといちじくが美味しくなるの?
ゆき
あの、水はけが良いとどうしていちじくが美味しくなるんですか?
一つ目は、いちじくは水を大量に必要としている一方で水溜まりに弱いということ。逆に言えば、水はけが良くて水分が流動してくれていると生育が良くなるということ。
二つ目は、果実の水分量が多くなりすぎず、糖度が凝縮されること。
の2つが考えられます。
いちじくと水(H2O)、根腐れとの関係
ゆき
どうしていちじくは多くの水を必要とするんですか?
葉っぱが大きくて数も多いからです。
ゆき
えっと。。
葉っぱの大きさが関係しているということは、、
「光合成」が関係していますか??
いい感じですね。
1.光合成
CO2+H2O→C6H12O6+O2
2.呼吸
C6H12O6 + 6O2 + 6H2O → 6CO2 +12H2O
3.蒸散
H2O:根→葉→大気中
これらに関わってきます。
中学校の理科で習った内容ですね。
ゆき
う。。
簡潔にお願いします‼
この3つとも「水(H2O)」が関係していますよね。
つまり葉っぱが大きくて多いということは、水の消費が激しいということです。
ということは、必要量の水をしっかり供給してあげれば順調に生育してくれるということです。
しかし、いちじくは根腐れしやすくて溜まり水に弱い。
根が窒息しやすいみたいです。あっけなく枯れます。
ゆき
根っこが窒息?
植物には水溜まりに強い植物と弱い植物とがあります。
例えば同じ穀物でも、水稲の根は水に強くて、麦は弱いです。
なぜ水が滞留していると根が窒息してしまうのか、それを説明してくれているサイトをご紹介します。
根を構成する細胞も呼吸をしていますので、酸素を吸収し、二酸化炭素を排出しています。(略)
根が冠水した場合、土壌の間隙は水で満たされ、根の表面全体が水と直接接することになります。水に溶解している酸素を吸収することは出来ますが、根表面に接する水の酸素濃度はすぐに低下します。(略)水の中での酸素拡散の速さは遅いため土壌からの酸素の供給がほとんどなくなり、根は柔細胞間隙からだけの酸素供給に頼ることになります。この状態が長く続くと、植物種によっては酸素欠乏をきたし「窒息状態」になります。
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=1130
ゆき
うーん、、
根っこは水中の酸素を取り入れることができるけど、水と接している部分からしか取り入れられないから、水が動いていないと窒息してしまうということですね。
そうですね。その環境に適応できるのが稲で、弱いのが麦やいちじくということですね。
とはいえ、水を動かしてあげれば生きられます。
いちじくは果樹の中でも珍しく養液栽培ができる植物です。
養液を流し続けてあげれば、たとえ常に水中に浸かっていても生育できて、むしろ常に水分が流れている環境の方が成長に良いようです。
ゆき
「滞留水に弱い」という表現はそういうことなのですね!
いちじくは単に水に弱いのではなくて、むしろ根っこの方で水が流れてくれていればよく育つっていうのは不思議な感じがします。
羽間の砂壌土+礫質層は水はけが良くて、雨が降っても水がすっと抜ける。
水が流れている状態ですね。
これが羽間のいちじくは生育が良いという理由です。
水はけが良いと果実に糖分が凝縮される?!
水はけの良さが味に影響しているということは、輸入ドライいちじくの販売で有名な小島屋さんのHPにも言及があります。
フルーツの栽培は水はけの良い土地が向いています。必要最低限の水で育つことで、果実の甘みが濃縮されて甘くなるので、美味しさがちがいます。
https://www.kojima-ya.com/c/all/dried-fruit/b008
(略)
水はけは良くなく、果実への日当たりも良い環境とは言えない土地で育ったいちじくは、同じ国、同じ産地のドライフルーツであっても美味しさが大きく異なります。
ゆき
わぁ、いちじくのドライフルーツ美味しそう‼
早くうちもドライフルーツを作って小島屋さんに取り扱ってもらいましょう!
話は逸れますが、小島屋さんは私が学生の頃から愛用させていただいているお店です。
品質の高いドライフルーツとナッツを取り扱われていて、アメ横のお店にも足を運びましたし、地方に住んでいる時は通販で定期的に購入しています。おまけでビーフジャーキーをいただいたときは嬉しかったですね。
雨が多いと果実が水っぽくなるというのは、トマトでもスイカでもブドウでも、果実を収穫する作物全般で言われていることですね。
「はざまいちじくは甘い」と言われているのは、土壌の水がすぐに捌けてくれて余分な水分が果実の方へ上がりづらく、糖度が凝縮されやすいということが考えられます。
ゆき
うわぁ。
水はけが良くていちじくが美味しいっていうのは聞いてましたけど、理屈で考えるとこんなに難しくなるんですね!
このシリーズあと2つ、記事にできるんですか??
下書きが1年近く眠っていましたから。。
今年こそははざまいちじくのシーズンまでに書き上げたいですね。
簡潔にまとめ(手っ取り早く結論を読みたい人はここから)
まんのう町羽間の土壌特性
- 表層部が水はけのよい『砂壌土』であること
- さらに砂壌土の下が水を通す『礫質層(ガラク)』であること
これらの土壌特性が相まって水はけを良くしています。
そして、
水はけが良いといちじくが美味しくなる理由
- 水分要求量が高い反面、根腐れしやすいいちじくは、降雨のあと土壌水分がすっと抜ける方が良く育つ。
- 果実に余分な水分が上がりにくく糖分が凝縮しやすい
以上。
シリーズはあと2つ続きます。
ゆき
めっちゃ簡潔にまとまりましたね!
1 件のコメント