幻?「白いとうもろこし」はなぜ希少なの?今後はもっと少なくなる理由とは何??

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プロローグ

ゆき

ゆき

園長!

白いとうもろこし、できましたね‼
今年は「ホワイトショコラ」!
かわいい名前ですねぇ。

そうそう、記事トップのイラストは白をイメージした洋服でしょ?

白いオーバーオールはちょっと微妙だったので、普通の服にしました。。

本題のとうもろこしは第1弾の、3月下旬に種を蒔いたものがやっとできましたね♪

ゆき

ゆき

普通の服?まぁいいや。

第1弾って続きがあるってこと?

とうもろこしはベストの状態で収穫できる期間が3日くらいしかないんですよ。

だから1度にすべての種を植えてしまうと、

  • 収穫しきれないし、
  • 収穫できたとしても販売しきれないし、
  • 買いたいというお客様もタイミングよく買えない

という事態に陥ってしまいます。

ゆき

ゆき

だから種まきの時期をずらすのですね!

そうですね。

1週間ずつだったりとか、間隔をあけて種を蒔きます。

そうすると、とうもろこしも生き物ですのできっちりみんなが揃うわけではなくて、幾らかは早く実るものがあったり、遅くにできたりするのがあったりで、次弾のものと時期が被さってきてほぼ毎日収穫・販売できるようになります。

ゆき

ゆき

へぇー、計算されているんですね。

働く側としても一気に収穫し終わって、「はい、また来シーズン」とかいうのは困りますね。

でもほかの農家さんでは一気に収穫して市場に出して、トウモロコシは終わり!ってところもありますよね?

「誰を顧客として想定するか」で植え方が違ってきますね。

個人顧客へ販売することを目指すと、できるだけ長い期間コンスタントに収穫することを考えないといけません。

白いとうもろこしって栽培が難しいの?

ゆき

ゆき

ところで、ネットなんかでよく「幻のホワイトショコラ」みたいな感じで白いとうもろこしについて「幻」とか、「希少な」とかいう言葉が使われているのを見かけます。

白いとうもろこしって栽培が難しいんですか?

いえ、栽培のやり方はメジャーな黄色種と同じです。

ただ、真っ白な実に仕上げることが自分たちの力だけでは不可能です。

ゆき

ゆき

え?

栽培の難易度は同じでも、自分たちだけでは真っ白に仕上げられない??

真っ白な実にできるかどうかは周りの環境次第

白色種は劣性遺伝子なので、黄色種など色がついているとうもろこしが近くに植えられていると真っ白になりません。

ゆき

ゆき

周りから飛んでくる花粉に影響されるってことですか?

そうです。

自分たちの畑だけ白いとうもろこしをたくさん植えたとしても、周囲で白くない「普通の」とうもろこしが生えているとかなり困難です。

風で飛んでくる花粉がかかったらまだら模様になるそうです。まっ黄色になってくれるならまだ救いはあるかもですが。。
その範囲は数百メートルともいわれていて、特に風の強い羽間なんかは影響をもろに受けるでしょうね。

ゆき

ゆき

香川県って、家庭菜園が多いですけど。。

そこなんですよ!

周りが農家さんだけなら、来年の作付け予定をヒアリングしながら、頭を下げて回っていけばなんとか調整できる可能性があります。

でも家庭菜園は農家とは関係のない世帯も多いです。半径数百メートルを自分たちの都合のために「とうもろこしを白以外の品種は植えないでください」などとお願いして回ることはできません。

特に香川の農村地帯では家庭菜園がそこら中に点在していますので、白いとうもろこしを栽培するのはリスクがあってかなり厳しい環境です。

ゆき

ゆき

そうだったんですね!

あれ?でも、どうしてウチはできちゃったんですか?

ほら、真っ白ですよ。

前年から、周りの農地とか家庭菜園の状況を観察したり、普段のお話を聞いたりしながら、ここの畑ならいけるだろうと判断しました。

一般的には、育苗を温熱ハウスでしたりトンネル栽培したりして周りと出穂のタイミングをずらす早出し栽培でリスクを避けるやり方があります。

ゆき

ゆき

1年前から調査してたのかぁ。
やりますねぇ。

一般的には早出し(促成)栽培をして時期をずらすんですね。
そうしたら家庭菜園とバッティングするリスクを減らせますもんね!

ただ、周りも黄色種などで早出し栽培をしてくると終わりますけどね。

いずれにしても周囲とコミュニケーションをとりながら栽培プランニングを立てなければなりません。

今後さらに、白いとうもろこし栽培が難しくなる可能性も

今後の日本では、子実用トウモロコシといって、家畜に食べさせたり、加工食品に使用したりするためのとうもろこしを自給しようという流れがあります。食糧安保にもかかわってくる内容です。
子実用トウモロコシが水稲や麦に代わって栽培されるようになると、さらに白いとうもろこしは栽培が困難になってきますね。

子実用トウモロコシは登熟した実をとります。その過程で花粉が飛ぶわけですから、現在の水稲や麦の農地で栽培が始まると、白いとうもろこしを栽培できる地域はかなり狭まってきます。

早出しで時期をずらす方法しか手がないかもしれません。遅出しの抑制栽培という方法もありますが、晩生の子実用トウモロコシがあったり、二期作が導入される可能性もありますから、後ろにずらすのは厳しいかもしれません。

農業は常に周りの環境に左右されるのですね。

今のうちに白いとうもろこしをたくさん食べておこうっと。

まとめと「幻」ワードについて

ゆき

ゆき

自分たちの力だけでは真っ白なとうもろこしにできない

子実用トウモロコシの自給率を上げると白い品種ができる地域は今より狭まる

そう言われると、白いとうもろこしが希少なのがよくわかりますね。

白いとうもろこしが「幻」と言われるのは、スーパーで陳列されるているのを見る機会がほとんどないからだと思われます。

インターネット通販が普及した現在では「幻」というのは言い過ぎでしょうね。
そもそも食品の包装にそういった文言は使えないわけですし。

食品包装に「幻の~」などと記載すると、根拠のない誇大表現による食品表示法違反を指摘される恐れがあります。

ゆき

ゆき

ウチはいちじくの「幻の黒いちじく」と呼ばれるビオレソリエスもありますし、「幻」といわれる品種が複数栽培されていますね。。幻って言葉が安く聞こえちゃう。

もちろん、珍しいものに変わりはありませんので、

「珍しくておいしい」

こういった面を訴求して皆様に当ファームの作物を味わっていただけたらと考えています。

Yuki-Izumi

Yuki-Izumi

松山⇒東京&千葉埼玉⇒松山など色々なところを渡り歩きながらまんのう町という田舎町に流れつきました。
流れ着いた先の義実家は20数年前まで古くからの専業農家でしたが、先代の急逝によりほぼ途絶。その状況でありながら細々とイチジクの樹は受け継がれていたところでした。
休耕地の活用を目指して令和3年度香川県立農業大学校技術研修科修了。
令和4年度よりイチジクと野菜の生産・出荷を開始しています。
農業大学校では本当に多くのことを学べ、特に農薬防除や衛生管理の分野は多くの時間をかけて学ぶことができました。
基本を大切にし、『農家自身が食べる農作物を食卓へ』お届けいたします。

過去には不動産鑑定・仲介、税理士事務所を経て、1級FP事務所を松山城の麓で経営し、並行して経理代行の仕事を営んできました。
いずれ農業と今までの経歴を絡めていけたらと考えています。

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